東くめ
2022年2月更新
生没年: 明治10年~昭和44年(1877-1969)
和歌山県東牟婁郡新宮町(現新宮市)出身の童謡作詞家。池田市室町に居住。夫は元池田師範学校長・東基吉。
東くめは、紀州藩新宮領主水野家の家臣をつとめた由比甚五郎(ゆいじんごろう)の長女として、明治10年(1877)に現在の新宮市で生まれました。明治21年(1888)、祖父の大阪転居により、当時大阪市西区の川口外国人居留地にあった設立間もないウヰルミナ女学校(現大阪女学院)に入学、ここで西洋音楽の道を志しました。明治23年(1890)、東京音楽学校の選科に入学、以後予科、専修部、さらに研究科へと進み、明治30年(1897)、研究科に在籍のまま東京府立高等女学校の教員になりました。
東京音楽学校でピアノと和製学を学び、さらに作詞にも力を注ぎました。同窓の作曲家・滝廉太郎と組んで「鳩ぽっぽ」や「お正月」などを残しています。明治34年(1901)、言文一致で書かれた日本で最初の唱歌集『幼稚園唱歌』が発行されましたが、本書に収録された20曲のうち13曲は東くめの作詞です。本書は、東京女子高等師範学校助教授で附属幼稚園批評掛を兼ねていた夫の東基吉(ひがしもときち)から、幼稚園児が理解できる口語詩による同様の製作依頼を受けて誕生したものです。
音楽教諭を退職後、大正6年(1917)、基吉が池田師範学校の校長に就任したため池田に移り、大正13年(1924)に室町に居を構えました。その後、ピアノ教師を90歳まで続け、終生をここで過ごしました。
昭和37年(1962)、池田市はくめに本市でははじめての教育文化功労賞を贈り、翌年には五月山公園に、デザイナー・沢村徹が制作した「鳩ぽっぽ」の歌碑が建立されました。
<関連事項>唱歌/鳩ぽっぽ/お正月/東基吉/
関連図書(部分記述を含む)
東くめ唱歌集 東くめ/著, 関西児童文化史研究会 1994, 767
池田市史 概説篇[新版] 池田市史編纂委員会∥編纂, 池田市役所 1971, 216.3
■東くめ p1150
熊野誌 43 熊野地方史研究会/編 熊野地方史研究会 1997, 216.6
■東基吉・くめ特集号
実記百年の大阪 読売新聞大阪本社社会部/編, 朋興社 1987, 216
■東くめ-滝廉太郎の名コンビ p344-345
鳩ぽっぽ歌碑建設記念 鳩ぽっぽ歌碑建設世話人会 1964, 767.021
日本文芸鑑賞事典 2 明治28~36年 石本隆一/ほか編纂, ぎょうせい 1987, R910.26
■『お正月 東くめ/著』薩摩正, p370-373
日本の幼稚園 上笙一郎/著, 理論社 1976,376.121
■幼稚園唱歌のあけぼの 東基吉・くめ夫妻, p69-83
日本唱歌集(岩波クラシックス18) 堀内敬三/編, 岩波書店 1982, 767.7
回顧録 室町にゆかりのある人びと 室町会 1998, 281.63
■鳩ぽっぽの東くめさん p13
池田学講座 人物誌編 続 池田市教育委員会 2009, 281.63
■作詞家東くめ p1877-1969
明治後期幼稚園保育の展開過程 東基吉の保育論を中心に 柿岡玲子/著, 風間書房 2005, 376.17
■『幼稚園唱歌』の考察 p193-200
CD
うたつづり -東くめ 作歌集 東くめ/作詞,いけだ市民文化振興財団, M430
雑誌記事
鳩ぽっぽの歌碑 田村泰秀拓 大阪春秋 37, 大阪春秋社 1983, p125
特集 大阪のうた・歌・詩:東くめと大阪(囲み記事) 大阪春秋 38, 大阪春秋社 1983, p62
東くめさんをたたえ五月山公園に歌碑を 広報いけだ 204号(1963年5月15日号), 池田市, p4
東くめさん逝去される 広報いけだ 275号(1969年4月10日号), 池田市, p5
市政トピックス:4月から変わります ごみ収集車の音楽 燃えるごみは「鳩ぽっぽ」に 広報いけだ 1011号(2005年2月1日号), 池田市, p8
五月山は自然と歴史と民俗の宝庫:五月山公園の『鳩ぽっぽの歌碑』 室田卓夫, つながり 186, 2017.12, p3
東基吉の保育論を反映した《幼稚園唱歌》の編纂 : 〈お正月〉の作詞者東くめと作曲家滝廉太郎の仕事 谷村 宏子, 教育学論究 (7), 2015, p81-92
Web
新宮市ホームページ
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http://www.city.shingu.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=18808