としょかんのへや
2008年06月20日
No.20 国民総幸福量
「社会的格差」や「心の闇」といったフレーズが、目を覆いたくなるような事件の背景として注目されています。豊かさを求めて突き進んだ社会が、「これで良かったのか」と疑問を投げかけられています。
だからという訳ではないのですが、『ブータンに魅せられて(岩波新書・今枝由郎著)』を読みました。190ページほどの読み易い本で、読むほどに私も、鎖国に近い不思議の国ブータンに魅せられて、行ってみたくなりました。
「国民総生産(GNP)」は言葉としてよく聞きますが、では「国民総幸福(GNH=Gross National Happiness)」はご存知でしょうか?この本に拠ると、1昨年に退位されたブータンの第4代国王が提唱された理念だそうです。近代化・経済発展は世界中の発展途上国にとって避けて通れない課題であるが、ブータンは伝統に裏打ちされた精神面の幸せを最優先し、近代化は自分たちにとって必要と感じたときに、ゆっくりと始めるのだそうです。ですから、国民の97%が幸せだと感じている(!)。日本では何%の人たちが幸せと胸を張れるのでしょう・・・。
「人間は物質的な富だけでは幸せになれず、充足感も満足感も抱けない。経済的発展および近代化は人々の生活の質および伝統的価値を犠牲にするものであってはならない。」という、仏教が生活に息づく国の王妃の言葉は、経済至上主義の、日本をはじめとする所謂先進国といわれる国の人々に警鐘を鳴らしているように思えるのですが・・・。
この本は、本館(丘の上の図書館)2階の専門室にありますので、ぜひ読んでみてください。
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