としょかんのへや
2010年03月01日
No.47 人生の節目に・・・
日ごとに暖かくなり春らしくなってまいりました。みなさまはこの季節をいかがお過ごしでしょうか。
3月は卒業や転勤など人生の節目の月でもあります。自分の過去の節目を振り返るうちに、小学校の卒業文集で先生がある詩を引用されていたのを思い出しました。
<一つのこと>
いま終わる一つのこと
いま越える一つの山
風わたる草原
ひびきあう心の歌
桑の海光る雲
人は続き道は続く
遠い道はるかな道
明日のぼる山もみさだめ
いま終わる一つのこと
斎藤喜博氏の「一つのこと」という詩です。『君の可能性』という本に収録されており、図書館でも所蔵しております。みんなと力を合わせて一つの山を登りきった喜び、そして目の前のさらに高い山に登ろうとする決意。大人になって改めて読むと何とも深く胸に響いてきます。みなさんも昔読んだ詩や小説などをもう一度読んでみられてはいかがでしょうか。その当時は味わうことができなかった感慨が得られるかもしれません。
卒業や転勤には人との別れがつきものです。今では携帯電話を使えばいつでも離れた場所にいる相手の人の声を聞くことができます。しかし、いつもそばにいて同じ時間を共有するからこそお互いに得られるものもあるはずです。そして、振り返るとその時間は意外と短かったということに気付きます。だからこそ今自分のそばにいる人との一分一秒を大切にする必要があるのではないかと、この歳になって私は思うのですが、みなさまはどう思われるでしょうか。
図書館職員はみなさまのすぐそばにおります。ご利用をお待ちしております。
<HL‐S>
★ 『君の可能性 ‐なぜ学校に行くのか‐』
斎藤喜博/著,筑摩書房 1970年
図書番号100370493、分類C15