としょかんのへや
2010年04月01日
No.48 邂逅
3月が別れの季節であったなら、4月は新たな出会いの季節ではないかと思います。
<邂逅>という言葉があります。
亀井勝一郎の著書『愛の無常について』の第1章「精神について」の中に、次のような記述があります。 「・・・いついかなるとき、いかなる偶然によって、誰と出会ったか。 そこでどんな影響をうけ、どんな友情が、あるいは恋愛が成立したか。 そういう経験をもつ人は、ふりかえって運命のふしぎに驚くでありましょう。 それによって一生が決定する場合も少なくない。 邂逅こそ人生の重大事であります。」
学生時代、授業をサボって偶然入った大学近くの小さな古本屋でこの本に出会いました。 その後、いくつかの出会いを経験する度に、この<邂逅>という言葉が頭に浮かびます。
これまでの人生を振り返ってみるとき、偶然の出会いがその後の自分に大きな影響を与えた、言いかえればその出会いがあったから今の自分がある、そんな出会いがあれば素敵ですよね。 若い人たちには今後どんな出会いが待っているのでしょう? 新しいクラス、新しい友だち、新しい先生、新しい職場、新しい仲間・・・出会いは偶然です。 その偶然を逃すことなく手に入れ、大切にしてほしいと思います。
出会いにもいろいろあります。 人との出会いだけでなく、一冊の本との出会いもひとつの出会いであると言えます。 現在図書館では「あなたのおすすめの本」を募集していますが、たくさんの<おすすめ>が集まっています。 心に残った本、何回でも読み返したい本、ずっとそばに置いておきたい本・・・図書館でそんな本と出会っていただければうれしく思います。 4月の「図書館こどもまつり」に、みなさんから寄せられた<おすすめの本>をロビーに貼り出す予定です。 どうぞお楽しみに!!
<urizn>
★ 『亀井勝一郎選集 第3巻-愛の無常について-』 講談社 1966年
図書番号:100054808