としょかんのへや
2016年07月01日
No.123 浴衣
関西も梅雨入りし、じめじめと湿気の多い季節になりましたね。雨の日には、洗濯物が乾かない、お出かけの予定が中止、出勤通学が大変など、不便なことばかり。我が家でも、部屋の中には生乾きの洗濯物が所狭しと吊るされ、なんだかカビくさいような気がします。けれど、日本の豊かな季節に梅雨は欠かせないもの。恵みの雨に感謝して、少しでも快適に過ごせるよう工夫したいですね。
ところで皆さんは夏に浴衣を着られますか?これから夏本番、お祭りに行く機会もあると思いますが浴衣を着る人はどれくらいいるでしょうか。私が生まれ育った町では、6月に「ゆかた祭り」というなかなか大きなお祭りがありました。普通のお祭りですが、「ゆかた祭り」というだけあって浴衣の人が多く、城下町でしたのでお城に浴衣の人並が映えてとても素敵で大好きなお祭りでした。
浴衣の起源は、「湯帷子(ゆかたびら)」といわれ、平安時代に蒸し風呂に入る時に着たものだそうです。帷子とは麻の着物のことです。麻は通気性がよく乾きも早いので、お風呂や湯上りに着るには最適です。また浴衣の生地に紺や白地が多いのも、涼しげに見えるようにとの工夫です。その紺色に染めるための「藍」には虫除けの効果もあったそうなので、蚊が多い夏にもぴったりです。浴衣には蒸し暑い日本の夏を快適に過ごすための知恵がたくさん詰まっていたのですね。
現代ではお風呂上りにちょっと浴衣を着る、というのは少し難しいですが、せめてお祭りの時くらいは着られるようになりたいですね。私もウン十年前の浴衣を取り出して、本を見ながら着付けの練習をし、今年の夏は浴衣再デビューを目指します。
■『ゆかたの着付けと帯結び 美しく着こなす』 大竹 恵理子∥著,成美堂出版 2015
■『大人のゆかた入門』 森荷葉∥著,講談社 2010
きくちいま∥著,主婦と生活社 2013
■『平成着物読本』 君野倫子∥著,河出書房新社 2011